
時の魔法使い
諸井秀樹さん(諸井醸造所代表/船川)
温故知新“しょっつる”
古くから伝わり手垢のついたものでも、その手垢を落とすと案外あたらしい未来が見えてきたりする。元来、古くから伝承されてきたものは「時間」という名の洗礼を受け、余分なものが削ぎ落とされ、確固たる形で残っているものが多い。
ハタハタのしょっつるは、その良い例の一つだ。
ハタハタのしょっつる(塩魚汁)は、秋田県の代表的な名物であり秋田の家庭の味と言っても過言ではない...筈だった。
しかしながら近年、キリタンポと並んで秋田名物に君臨し続けていると思っていたハタハタしょっつるの立場が危うくなっている。
今、秋田名物と聞かれたら、キリタンポに稲庭うどん、比内地鶏にあきたこまち米...
ハタハタしょっつると答える人が少なくなったように思える。
そんな“しょっつる”にスポットをあて、秋田のしょっつるを世界のスローフードに押し上げようとしている男鹿人がいる。諸井醸造所の三代目・諸井秀樹、その人である。
醸造と言う名の「時」の職人
伝統食であるハタハタのしょっつるには固定観念と地域の誇りが染み付いている。その壁を打ち破ることでしか生まれない新たな光と価値観。云わずと知れたことだがそれは簡単なことではない。しかし、そんな古いものが新たな輝きを取り戻す瞬間に立ち会うことが出来ればなんと素晴らしいことだろう。
しょっつるの原材料はハタハタ。そのハタハタが塩の助けを借り発酵、『時』と言う名の職人が琥珀色の液体(しょっつる)へと仕上げる。ハタハタが時の魔法で生まれ変わる一瞬だ。
さながら諸井氏は時を操る「醸造プロデューサー」かぼちゃを馬車に変える魔法使い!?
古くて新しい味の“ハタハタしょっつる”。この男鹿の地に伝わる伝統食の復権に取り組んでいる諸井氏が真に求めているものとは何だろう。
社会人としての地域貢献?はたまた地域経済の活性?
やはりそれらは副産物のような気がする。
諸井氏自身の男鹿に生まれた意義や、男鹿で暮らす誇り・・・諸井氏のライフワークとしてのハタハタしょっつるの味が楽しみだ。
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このコンテンツは男鹿温泉郷協同組合の発行する情報紙「男鹿の島風」のコンセプトを引き継いで企画したものです。
Author
文/
男鹿温泉郷協同組合 上野
男鹿なび 船木
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